大井川「農泊」地域に認定 「KADODE」拠点に食発信

特色ある食文化を活用して訪日外国人観光客の誘致に取り組む農林水産省の「農泊 食文化海外発信地域」として8日、新たに認定された大井川地域は、山あいを中心に農家民宿や民泊施設が点在し人気を集めている。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け外国人誘客は“逆風”の中にあるが、関係者は「滞在型観光の受け入れ態勢を充実させるための準備期間」と前向きに捉え、農家民宿などの新規開業を後押しする考えだ。

計画の実行組織となるのは、JA大井川や県志太榛原農林事務所、周辺自治体などがことし3月に設立した「大井川農泊推進協議会」。島田市の新東名高速道島田金谷インターチェンジ付近に11月にオープンした「KADODE OOIGAWA」を大井川流域への観光の玄関口と位置付け、専用サイトや施設内の島田市観光案内所「おおいなび」で、茶産地ならではの体験や宿泊施設などの情報発信を開始した。

志太榛原地域の農家民宿は13件あり、川根本町の「青部の里 茶風花」は、緑茶を練り込んだうどん作りや、特産の柚子(ゆず)パウダーを使ったすいとん作りなどが人気だ。新型コロナ流行前はドイツやアジア圏からの利用もあったといい、オーナーの佐藤美和さん(52)は「お茶体験は特に外国人に喜ばれる」と手応えを語る。

認定申請にあたっては、南アルプスを源流とし駿河湾に流れこむ大井川全体を捉えて「日本茶と駿河湾の幸を味わう旅」をコンセプトとした。今後、対象地域の藤枝、焼津市を含めて農家民宿や民泊の開業支援、体験プランの充実、教育旅行の誘致などに取り組む方針。JA大井川農業経営支援課の森脇陽亮さん(42)は「まだまだ体験型の『農泊』ができる場所は少ない。農業の新しい切り口として観光を取り入れる機運を高めたい」と意欲を示した。

<メモ>農泊 食文化海外発信地域 農林水産省は日本を楽しむ、味わうを意味する「SAVOR JAPAN(セイバージャパン)」という統一のブランドを使い、認定地域を海外にPRしている。これまでの認定は全国計31地域で、大井川地域は静岡県内で浜松・浜名湖地域に続き2例目。

出典:静岡新聞SBS

https://www.at-s.com/news/article/topics/shizuoka/839936.html