東北の農家に激震! コロナ禍の米価下落で離農が一気に加速する
新型コロナウイルスによる需要減退、過剰在庫の影響で、下落基調にあったコメ価格のさらなる低迷に激震が走った。
福島県産コシヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまちなど、コメどころ東北の主要銘柄で21年産米の概算金(出荷時の価格)が、前年比で500~4300円(1等米60キロ当たり)と大幅に下落した。
「9月初旬からスタートした関東産新米の下落に連動しました。首都圏での外食、中食ニーズの高い関東産米、東北産米が、極端な需要減でさらに余っているのが下落要因です。緊急事態宣言中、観光宿泊業、大手外食での需要がそれぞれ9割、2割減っているのに対して、家庭での巣ごもり消費がコメに関しては増えていないのも大きいでしょう」(米流通評論家・常本泰志さん)
そのため、すでに離農準備を始めていたり、農協以外の売り先を模索する農家が出てきているという。だが現在、新規感染者数がピークアウトし、観光や外食での需要がこれから盛り返すことが期待されている。来年以降はどういう見通しなのか。
「ただでさえ過剰在庫のうえ、21年産米は今のところ、北海道が大豊作で、東日本を中心に収穫量は昨年以上となる見込みです。北海道ゆめぴりか、山形つや姫といった一般消費者のニーズが高いブランド米を除き、今後も日本全体での米価の下落基調は続くと思われます。その理由は、消費者の可処分所得の低迷、量販店での極端な廉価販売、生産量に対する需要減の3点が挙げられます。回復速度はインバウンド(訪日客)次第という心細い状況です」(常本さん)
コメが安くなるのは消費者にとってはありがたいものの、現状、利益が出ているコメ農家は全体の2割程度だという。
「インバウンドの回復は、今後の感染状況次第で未知数です。政府が進めている国産農産物のブランド化による輸出戦略は、現在需要回復にほとんど寄与していません。衆院選後の農業政策次第で一気に離農が加速するでしょう」(常本さん)
日本におけるコメの生産は、瀬戸際を迎えている。
出典:日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/296333