外国人が「知らなくて困った」ルール1位「ゴミの捨て方」世界のゴミ分別事情
毎日のことなのに、つい手間に感じてしまうゴミの分別。一般的に日本のゴミ分別ルールは、世界的に見ても細かく、厳しいといわれます。それにともない、日本での「ゴミの捨て方」に困惑する訪日外国人も多いとのことです。今回は、株式会社YOLO JAPANが実施したアンケート調査を元に、世界のゴミ分別ルールとリサイクル事情についてお話します。
■外国人が日本で「知らなくて困った」ルール1位
株式会社YOLO JAPANは2019年11月、世界72ヵ国513名を対象に「日本のルールやマナーに関するアンケート調査( https://www.yolo-japan.co.jp/news-release/5402 )」を実施。同調査によると、過去に来日した外国人が「知らなくて困ったマナー」として、日本でのゴミの捨て方が最多となりました。回答者からは、以下のようなコメントが寄せられています。
“「自治体指定のゴミ袋があることを知らなかった」(オーストラリア、40代、女性)”
“「ゴミを前日の夜に出してはいけないと知らなかった」(アメリカ、50代、男性)”“「可燃ゴミと不燃ゴミの違いが分からなかった」(マレーシア、20代、女性)”
日本のゴミ分別ルールが、自治体によって異なるはご存じの通り。たとえ基本的なルールをわかっていても、「地域(自治体)による違いを把握するのは困難」といった声がありました。さらにマイナビニュースが実施した「日本のゴミ出しルールに関するアンケート( https://news.mynavi.jp/article/20160427-a156/ )」では、以下のようなコメントも寄せられています。
“「ゴミ分類は面倒だと思う。中国では分類はしない」(中国 / 20代半ば / 男性)”
“「日本に行われるごみ分別は厳しいと思います。母国では分別をする必要がないし、燃えるゴミとボトルにだけ分かれています」(スペイン / 30代前半 / 男性)”“「香港でもゴミの分別をやっていますが、日本みたいに徹底してないです。日本のゴミ分別は細かいです」(香港 / 20代後半 / 女性)”
日本のゴミ分別ルールが厳しすぎるのか、あるいは海外が緩いのか……そもそも海外のゴミ分別ルールは、一体どのようになっているのでしょうか?
■日本のゴミ分別ルールは本当に厳しいのか?
日本と世界のゴミ分別ルールを比較してみましょう。まず挙げられるのが、環境先進国のひとつであるスェーデンです。同国はゴミの種類を家庭ゴミ・資源ゴミ・粗大ゴミの3つに大別しています。この点は日本と同じです。
ただし、分別ルールの細かさは、日本以上です。自治体によって異なるものの、家庭ゴミは7色の袋にわけて出すのが基本。可燃ゴミは白色、紙ゴミは黄色、プラスティックは黄色、といった具合です。
驚くのは、ボールペン一本にしても尖端の金属部物、持ち手のプラスティックと分解してゴミに出すこと。またスプレー缶の先端部分(プラスティック)を取り外したり、付箋は糊の付着した部分を可燃ゴミ、それ以外を資源ゴミで出したりと、非常に細かい分別ルールを設けています。
結果、スェーデン国内のゴミリサイクル率は99%に。回収した可燃ゴミは廃棄物発電所で焼却し、発電および熱利用を行っています。また「ゴミは燃料」という考え方により、近隣諸国から年間約200万トンのゴミを受け入れ、利活用しているとのこと。この現状を見るに、日本のゴミ分別ルールが極端に厳しいわけではなさそうです。
アメリカはどうでしょうか。州・地方自治体により異なりますが、家庭ゴミ・資源ゴミ・草木類の3種類に大別。家具などの粗大ゴミにおいても、そのままゴミ捨て場に持っていく人が少なくありません。
資源ゴミは缶・ビン・ペットボトル・古紙となっており、ビンやペットボトルには「デポジット制」が採用されています。これは商品代金とは別にデポジット(預かり金)を支払い、空の容器を返却すると、預かり金が戻ってくる仕組みです。
また現地のスーパーの駐車場において、資源ゴミを買い取る専門業者がいるとのこと。その場で現金あるいは金券に交換できます。いずれにしても、ゴミ分別のルール自体は、そう厳しくない様子。日本よりは緩いがエコロジー・リサイクルに力を入れている、といったところでしょうか。
■オランダ発の「ゴミリサイクル経済」
日本人としても、「ゴミ分別は面倒だなぁ……」と思うのが本音。ルールだから分別しているだけで、私達国民に直接的な恩恵はないからです。一方、オランダ・アムステルダムには、家庭ゴミを分別すると電子コインがもらえる仕組みが導入されています。
報酬を受け取るまでの流れはこうです。まず住民は「WASTED( https://wastedlab.nl/en )」と呼ばれるゴミ分別促進プロジェクトのメンバー会員となり、家庭ゴミを古紙・古布・プラスティック・ガラスなどに分別。送付された専用のゴミ袋に入れ、最寄りの指定ゴミ捨て場に出します。
続いて、ゴミ箱に記載されたQRコードをスマートフォンで読み取り、ゴミ袋の写真を専用アプリでアップデート。するとアムステルダム市内の提携ショップ、提携カフェで使える電子コインがアカウントに加算される仕組みです。
ゴミの分別で報酬がもらえるなんて、日本人にとっては羨ましい限り。日本にもこのような仕組みが導入されたら、分別のモチベーションが上がるかもしれませんね。
■まとめ
日本のゴミ分別ルールの厳しさは、世界トップクラス。上には上がいるものの、依然として厳しいのは間違いなさそうです。それにより、日本の分別ルールに困惑する外国人が多いのかもしれません。
一方、「分別ルールが細かい=エコ」とは限りません。ある有識者は、分別ルールの細分化から収集トラックが走り回り、Co2を排出することで環境が悪化する、と述べています。本当のエコとは一体何なのか、私達は何のためにゴミ分別をしているのか。現状の分別ルールで本当に良いのか、世界から学ぶ余地がありそうです。
出典:エキサイトニュース