在日外国人はアフター/ウイズコロナ時代の海外プロモーションにおいて鍵となるか!?
■在日(在留)外国人の現状
法務省から出されている2019年6月現在の在留外国人の速報値では、中長期在留者数は約251万人、特別永住者数は約31万人で合計約282万人となっています。この数値は2018年末の数値と比較して約10万人増加し、過去最高となっています。
在留者の国籍上位10ヶ国は以下となります。
※()内の数値は2018年末からの増減率。
①中国 786,241人(+2.8%)
②韓国 451,543人(+0.4%)
③ベトナム 371,755人(+12.4%)
④フィリピン 277,409人(+2.3%)
⑤ブラジル 206,886人(+2.5%)
⑥ネパール 92,804人(+4.3%)
⑦台湾 61,960人(+2.1%)
⑧インドネシア 61,061(+8.4%)
⑨米国 58,484人(+1.7%)
⑩タイ 53,713人(+2.7%)
日本への留学生が増えているベトナムの増加率が12.4%と大きいですね。その他、インドネシア8.4%、ネパール4.3%と東南アジアからの在日外国人は特に増加傾向にあります。
次は在留者の多い都道府県です。
※()内の数値は2018年末からの増減率。
①東京都 581,446人(+2.4%)
②愛知県 272,855人(+4.6%)
③大阪府 247,184人(+3.4%)
④神奈川県 228,029人(+4.1%)
⑤埼玉県 189,043人(+4.6%)
在日外国人の多い地域はやはり首都圏に多いですね。最も多い東京都は全体の約20%を占めています。
参考:令和元年6月末現在における在留外国人数について(速報値) http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00083.html
■在日(在留)外国人は海外プロモーションの起点となるか
アフター/ウイズコロナ時代、約280万人の在日外国人に対して日本の情報をPRすることは、海外プロモーションの「起点」となる可能性はあるのでしょうか?
JNTO(日本政府観光局)の統計に以下のようなアンケートデータがあります。
<訪日旅行前に役立った旅行情報源>
●中国
SNS 25.9%★
個人のブログ 12.9%
日本在住の親族・知人 11.8%
中国在住の親族・知人 19.5%
●韓国
SNS 36.1%
個人のブログ 54.5%★
日本在住の親族・知人 6.5%
韓国在住の親族・知人 11.8%
●ベトナム
SNS 26.1%
個人のブログ 4.7%
日本在住の親族・知人 30.3%★
ベトナム在住の親族・知人 27.8%
●フィリピン
SNS 20.2%
個人のブログ 18.2%
日本在住の親族・知人 32.9%★
フィリピン在住の親族・知人 24.4%
●台湾
SNS 16.1%
個人のブログ 37.4%★
日本在住の親族・知人 8.3%
台湾在住の親族・知人 15.8%
●インドネシア
SNS 24.2%
個人のブログ 18.8%
日本在住の親族・知人 22.9%
インドネシア在住の親族・知人 28.7%★
アンケートの回答には上記以外に旅行会社、宿泊施設、航空会社、JNTOのホームページや口コミサイト、動画共有サイトなどを情報源にしたという回答も高い割合を示しているので、全体を比較して確認する必要があり国により差もありますが、日本在住者からの情報を訪日旅行の情報源にしている方がいることは間違いありません。「★」は最も高い回答率であった項目ですが、在留者(在日外国人)の多いフィリピンとベトナムは「日本在住の親族・知人」を情報源にしたという回答が最も多くなっています。また、あくまでも推測になりますが、「SNS」や「個人ブログ」、また「海外(自国)在住の親族・知人」についても間接的及び直接的に日本在住者からの情報発信が影響を及ぼしている可能性もあると思っています。一例としては、参考にした個人ブログやSNSの中には在日外国人が運営しているものもあり(ブロガー、インフルエンサー活動)、海外の親族・知人に対する情報元も在日外国人であったというケースなどです。
その為、日本の情報源として在日外国人が「起点」になっているという可能性は十分にあると想定されることから、在日外国人に知ってもらうことで日本の情報を調べている海外在住者に対するプロモーションにつながる可能性があるということです。
参考:訪日データハンドブック2019 https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/jnto_databook_2019.pdf
■在日(在留)外国人に向けたプロモーション方法
では、在日外国人に自社サービスを知ってもらう為にはどのような方法があるのでしょうか。
考えられる方法は大きく分けて以下3つです。
①在日外国人向けにサービスを提供している企業とタイアップ
②在日外国人コミュニティーや企業・団体・学校に対するアプローチ
③在日外国人が利用するメディアでの広告
①の一例としては、海外からの留学生に対して日本での生活をサポートしている企業とのタイアップです。留学生が来日する際、賃貸、口座開設、携帯購入、職場探しなど様々なサポートをしており、多くの留学生と接点があります。
②については様々考えらえますが、外国人スタッフが多い企業(外資系企業など)や同国籍者ごとのプライベートクラブやソーシャルクラブ、その他国際的な友好協会などに対するアプローチです。モニターという形で商品提供しSNSへレビュー投稿してもらうことや団体の会合や懇親会などで商品説明の時間をもらうなど、訴求したいサービス内容に応じてアプローチ方法は異なる為、しっかりと戦略を練る必要があります。
③については、多言語で情報発信している日本情報メディアはすべて該当する可能性がありますが、在日外国人向けに発行している新聞やフリーペーパー及びそのWEBサイトやSNSは特に在日外国人にアプローチできる媒体となります。こちらの「メディアでの広告」については、情報が多い為また別のコラムでご紹介したいと思いますが、ご興味ある方はお気軽にご連絡ください。
■まとめ
アフター/ウイズコロナ時代の中では、海外からメディアやインフルエンサーを招待して「取材+情報発信」というのは今までよりは難しくなる可能性もあります。そんな中、在日外国人にファンをつくり、信頼ある情報として海外の家族・友人・知人へと拡散してもらうことは非常に有効であると思います。例えばですが、あなたがタイへの旅行を計画していたとして、タイの現地情報を知りたい場合、インターネットで調べるのは当然としても、もしタイに友人がいたら直接聞いてみるのではないでしょうか?それはインバウンドでも同じことが言えます。
ただし、しっかりとファクトチェックされた信頼ある情報を配信できる広告代理店やメディア経由のプロモーションとは異なり、(個人であれば誰にでも言える事ですが)在日外国人からの情報はあくまでも個人的な見解である為、正確な情報が伝わらない可能性がある点は認識しておく必要があります。
著者:JOINT ONE 嶋田拓司