サスティナブルインバウンドツーリズム!?アフターコロナに向けて再確認

2021年6月22日、日本政府観光局(JNTO)が「SDGsへの貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に係る取組方針」を策定したとの発表がありました。これからの訪日外国人旅行者の受け入れに対して、サステナブル・ツーリズム、ユニバーサル・ツーリズムなど環境や多様性に配慮することを重視し、訪日観光客の受け入れや情報発信をしていくということです。

そこで今回は、JNTOの取り組みをご紹介すると共に、アフターコロナに向けてインバウンド受け入れ準備をどのような考えで行えば良いか考察してみました。

◇◆JNTOの今後の取り組み

JNTOの今後の取組としては、
「世界に日本の魅力を発信する組織としてJNTO は、イベント運営時のプラスチック使用削減など、組織運営や事業活動において、より一層環境保全に配慮し、コロナ禍を受けた世界の旅行者の持続可能性(サステナビリティ)に対する意識の高まりも踏まえ、以下の取組を推進する」とのことです。

①サステナブル・ツーリズムの推進に取り組む日本の地域や観光コンテンツ(アクティビティや観光・飲食・宿泊施設等)の海外向け情報発信

➁国内関係者への国内外の先進事例の情報提供

③海外の旅行者に対する「責任ある旅行者(レスポンシブル・トラベラー)」としての行動の奨励

④人種や国籍、民族や宗教、ジェンダーや年齢、障害の有無等に関係なく全ての旅行者が日本において快適で安全・安心な旅行ができるようなユニバーサル・ツーリズムに資する情報発信

上記の中では、①サステナブル・ツーリズムに取り組む地域や観光コンテンツと④ユニバーサルに関連した取り組みの情報発信という部分が最も大切ではないでしょうか。

しかしながら、情報発信するには、当然その地域及び関連業者が実際に両ツーリズム(サステナブル、ユニバーサル)を理解した上で推進している必要がある為、今後世界の観光市場を取り込んでいくことを考えると両ツーリズムへの対応は不可欠な条件になる、ということであると思います。

アフターコロナを見据えて、観光がこれまで以上に生み出す負荷や悪影響を最小化する形でコロナ禍から回復し、「旅行者から選ばれる観光地」になるということを前提として、地域の環境、文化、経済を守り、そして育てる、というサステナブル・ツーリズムの考え方は今後のインバウンド市場にとっても重要な考え方となります。

SDGsへの貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に向けて取組方針:https://www.jnto.go.jp/jpn/news/press_releases/20210622.pdf

◇◆アフターコロナに向けてやるべきこと

では、JNTOの方針も踏まえて、インバウンド受入地域や関連業者がやるべきことはどのようなことでしょうか。

まずは、コロナ禍で変わってしまった、旅行者のニーズや動向を把握することであると思います。その為には、世界の経済やトラベルバブルの状況、さらには人の意識変容なども含めて変化する様々な内容を確認する必要があります。また、コロナ前に元々表面化していた、言語対応やWi-Fi環境、移動手段など、インバウンド受入れに対する諸々の課題も段階的に解決していくことも重要です。

訪日旅行への不安は、世界各国への不安に比べて高い傾向にあるというデータもありますが、訪日旅行需要が極端に低下するということは考えづらい為、アフターコロナにおいても、一定の需要はあるという前提は持っていても良いと思います。その中で、どの国のどのような層が訪日旅行需要をもっているか調査・分析することはアフターコロナに向けてやるべき大事なことではないでしょうか。

◇◆観光資源の磨き上げ→情報発信

「JNTOの方針」や上記の「やるべきこと」を踏まえて、観光資源の磨き上げを行っておくことが、インバウンド回復期のスタートダッシュにおいて重要な要素となってきます。その後、メディアやインフルエンサーなどを通して、情報発信していくことになりますが、その際、地域として発信したい内容ではなく、海外の旅行者もしくは旅行事業者が求めている情報を発信する「プロダクトアウトではなくマーケットイン」の考え方が重要となります。コロナ前においても、海外が求めている内容や外国人に響く内容が発信されていないということはインバウンドプロモーションの課題の一つでもあった為、この機会にあらためて情報発信する内容について考え、マーケットインのコンテンツ制作を心掛けること、またその体制を構築することが大切です。

◇◆まとめ

アフターコロナでは、観光の形が変わると言われていますが、果たしてそうでしょうか。

変わるのは、各施設や関係業者、旅行者が行う感染対策やそこに付随する気持ちの変化などで、観光に対する「本質」はこれからも変わらないと思います。その「本質」とは何なのか、それは筆者も分かるようで分かりませんが、期待も込めて「観光の形は変わらない」と思いたい自分がいるのが正直なところです。

ただ一つ確信的に言えるとすれば、アフターコロナにおいて、観光の本質を掴んだ上で、訪日客を「ゲスト」としてしっかり受け入れることができる地域があれば、それは魅力的な観光地であるということではないでしょうか・・・

著者:JOINT ONE 嶋田拓司