“三方良し”の理想を叶えていこう!

京都と奈良の神社仏閣の写真
理想と現実 オーバーツーリズムの影響と課題

『新型コロナウイルス対策支援コラム』を脱し、『読むセミナー』としてお送りしております。また、この記事は、海外・訪日インバウンドマーケティング情報マガジン【エの輪】と同じ記事を投稿しております。

オーバツーリズムといえば、まず名が挙がる観光地としては、“京都”そして“奈良”(特に東大寺や奈良公園など)が有名です。コロナ後通常の生活に戻り約3年、閑散期の秋始め9月中旬の京都・奈良では、外国人旅行者や日本人旅行者、そして現地に暮らす人はどのような状況にあるのか、現地インタビューと肌感レポートをお伝えします。

京都・奈良メイン観光地の今

外国人の流れ

国籍関係無く団体グループよりもFIT(少人数)のカップル、ファミリー、友達などのグループが多く見受けられました。

移動は公共の電車やバス、そして徒歩、一部電動キックボードを利用している方もいました。

京都においては神社仏閣をベースに、欧米系とアジア系で訪問地は多少異なるよう。

わりと落ち着いた年代層(40代から上の層)の日本人が多い名所においては、欧米系の方が目立ち、フォトジェニックな名所においてはアジア系の若者で賑わっていました。

行列がある印象は少なく、ただ、市内の循環バスなどはやはりFITの方が利用されるようでバス停には行列がありその中に混じるように現地に暮らす人と思われる老人の姿も・・・。

奈良においては、ゴールデンルートの一部である東大寺、春日大社のエリアでは、多くの外国人旅行者で賑わっていましたが、こちらも行列が凄い!という印象は無かったです。割合的には欧米系の方が多く見受けられ、一部アジア系の方が見受けられました。アクセスが不自由な場所にある神社仏閣おいては、欧米系の方はおらず、仏教への信仰が深いアジア系の方が散見されました。

現地に暮らす人の声

「京都府民の生活圏のインフラへの影響が大きいので、住民と外国人旅行者との違いを施行予定とのことだが、まだどうなるか分からない・・。」

また街中でのモラルの低下によって犯罪への影響を危惧する声もありました。

京都を訪れる日本人旅行者の声

「宿泊税が開始されたが、普段から国に税金を支払っているにも関わらず、支払っていない外国人と同じ扱いに疑問を感じている。」との声も

「せっかくの旅でもどこも高額になり、大胆にはお金を使えないのが残念。」

実際に、筆者自身も高額な拝観料や入場料に驚いた場所もありました。

また、「マナーの悪い外国人が怖いので、なるべく外国人が行かないような場所を観光するようにしている」という悲しい声もありました。

外国人観光客の声 理想と現実

「沢山神社仏閣があるのに、寺と神社の参拝の違いを各所で案内していないので、よく分からない。」

実際に筆者が確認できた中でも、ニ礼二拍手一礼を寺の本尊にてされている方が多かったです。また、京都に限らず神社によっては「ニ礼二拍手一礼」ではないところもあります。

聞いた話によると、寺敷地内にあるお墓(神道ではない)でニ礼二拍手一礼している人もいたとのこと。

「せっかく荘厳な神社仏閣を期待して訪れたのに、レジャー施設化しているところもあり、崇高さを欠いていることが残念だ。」という声もちらほら伺えました。

「外国人旅行者が多いのは仕方ないけど、一部の外国人がせっかくの荘厳さを無くしてしまっている。同じ外国人として、見ていて気分の良いものではない。日本はもっとプライドを持って観光地や神社や寺を守ってほしい。」とごもっともな意見も。

日本の歴史や伝統は古から伝わり、そして語り継がれ、現代において物理的に守られていても精神が守られていなければ、そういった欠如は訪れる人に伝わるものだと感じました。

外国人に合わせるのは悪いことではありませんが、いきすぎた迎合はインバウンド自体が本末転倒になる危険性を孕んでいることにも注意です。

古から伝わる日本人としての作法、礼儀、精神自体そのものを理解し体験してもらうことが必要不可欠なのかもしれません。

それこそが限りある人生の1ページに彼らが旅先として選択し期待し訪れた【日本】なのです。だらかこそ、そんな彼らの期待を裏切ってしまうような体験はしてほしくない、風景は見てほしくないというのが各地施設を営む方々や我々日本人の正直な気持ちではないでしょうか。

■まとめ

アクセスが不便な箇所において、団体はバス移動がほとんどなので問題ありませんが、小グループにおいてはタクシーを呼ぶにも車が足りていない現状もあり、ままならないとのことでした。人材リソースが足りていない交通業界ではあるものの、現地で暮らす人にも影響が起きている現状である以上、継続的にインフラの整備に力を入れる必要があると見受けられました。

また、観光地への影響としては、訪日外国人旅行者が増加する中で、試行錯誤を重ね、新しく生まれた文化もあるかもしれませんが、実際に旅行者の方にも言われるのが “外国化してしまったらそこは日本でなくなるので観光地としては劣ってしまう” と・・。 そしてまさにその状況こそが日本人旅行者にも影響を及ぼしているという現実でした。

観光立国として世界に誇れる”美しい国ニッポン”であり続ける為には、表面的な事だけではなく、やはり「日本が日本である事」が、当然ながら最重要であるということが改めて分かりました。

日本は、日本の真の伝統や習慣を適切に外国人旅行者に伝え、それを理解し正しく行えることに喜びや誇りを持つ外国人旅行者(日本ファン)を増やしたいですね。