タクシー外国語対応強化

◆輪島 指さしシート活用広がる

 北陸新幹線開業などで増加する外国人観光客の利便性を高めようと、輪島市や金沢市のタクシー会社が英語や中国語などの外国語対応を強化している。言葉の壁を越えて観光を楽しんでもらい、リピーター確保につなげたい考えだ。

 輪島市観光課は、台湾や香港で放送が始まった連続ドラマ効果での訪日外国人増を期待し、行き先や所要時間などの簡単なやりとりが、英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語の3か国語でそれぞれ翻訳された指さし会話シートを50部作成し、市内の全タクシーに配備した。

 1時間あたり5000円から利用できる奥能登2市2町の観光ガイドタクシー「notoいろタクシー」は、2014年度の計456件、延べ1247人の利用から、15年度は計732件、延べ1881人と利用が拡大。輪島市は外国人の利用も促そうと、シートを他の奥能登地域にも配布し、活用の広がりに期待を込める。輪島タクシー(同市)の町元和夫社長(61)は「シートを見ながら最低限の意思疎通ができ、自信になっている」と話す。

 金沢市でも、外国語対応が課題となっている。外国人から観光タクシーの依頼が月に10件近くある同市内のタクシー会社は、「あいさつレベルの英語ではしっかり案内するのは難しい」と明かす。中国語はなおさらで「タブレットを使いながら身ぶり手ぶりで対応するしかない」と話す。

 こうした状況を解決しようと、金沢香林坊ロータリークラブは今年の花見シーズンに、ボランティア通訳が同乗する観光タクシーを試験的に運行した。ひがし茶屋街や主計町周辺、金沢城公園、兼六園などを巡る2時間のコースで、夜桜の風情を楽しむ外国人の家族連れなどが利用した。

 年末年始に欧米の観光客にニーズ調査を行ったところ、4組に1組が「利用したい」と答えたことから、会員企業の大和タクシー(金沢市)がジャンボタクシーを運行し、金沢在住の外国人に通訳を依頼する形で実施にこぎ着けた。東直樹・同クラブ社会奉仕委員長は「需要が十分にあることが分かった。ボランティアガイドなどと連携すれば事業化の可能性が十分あるのではないか」と話す。今後効果を検証し、本格導入を模索することにしている。

出典:読売オンライン

http://www.yomiuri.co.jp/local/ishikawa/news/20160518-OYTNT50391.html