冬の群馬へオーストラリア訪日客誘致、県が本腰 コロナ禍も情報発信加速
群馬県はオーストラリア人観光客の誘致戦略を加速する。豪州のウェブ媒体上で群馬のスキーリゾートの露出を増やし魅力を訴求していく。豪州人1人当たりの旅行支出額は高額だが、県内への誘客は進んでいなかった。積極的なPR展開で巻き返しを図り、新型コロナウイルス感染拡大で傷ついた観光業の再活性化を狙う。(柳原一哉)
県は手始めに、シーズンに当たる来年1月から、豪州の旅行専門ウェブ媒体に県内のスキー場などを写真を交えて紹介する記事広告を複数回掲載するほか、同内容をSNS(会員制交流サイト)でも発信する。同時にデジタル広告も随時流し、英語版の県観光サイトに誘導。県の認知度向上を目指す計画だ。
観光庁の令和元年の調査では、訪日客は中国の年間約800万人に対し豪州は同約61万人にすぎないが、1人当たりの旅行支出額は国籍・地域別で最も高い約24万8千円。旅行支出額と旅行者数から算出する「訪日外国人旅行消費額」は全体7位の約1514億円と規模が大きい。
豪州人は夏の南半球から冬の日本を訪れ、スキーリゾートに滞在するスタイルを好み、平均泊数がインバウンド全体平均の倍以上の12・9泊と長く、飲食の出費も多いため旅行支出額が高くなっている。
地域別では、パウダースノーと呼ばれる雪質の北海道・ニセコ地区の人気が高く、リゾート開発が進んだ同地区では地価の急上昇も招き話題となった。群馬に隣接する長野県・白馬、新潟県・妙高の人気も高い。
しかし、県内への誘客は進まず、同年の豪州人の宿泊者数は3460人泊にとどまり、約10万7千人泊の長野県、約3万人泊の新潟県とは大きな開きがある。
県は近接する長野、新潟と雪質が変わらず、みなかみ町など県内にスキー場が20数カ所整備されていることや魅力的な温泉も立地することから、豪州人を取り込める潜在力は大きいと判断。誘客を加速する方針を打ち出した。
インバウンド誘致は山本一太知事の看板政策で、インターネット上で影響力のあるインフルエンサーの招請などの事業を展開してきた。しかし、コロナ禍に伴う渡航制限が続く中で従来型の事業は実施が難しくなっている。県は今回、収束をにらみながら、まずは豪州のスキーファン向けの情報発信に注力。制限解除とともに誘客を本格化する流れを想定している。
出典:産経新聞
https://www.sankei.com/politics/news/201001/plt2010010008-n1.html