イギリス、米やEUでワクチン接種完了でも「黄」リストからの入国は隔離不要に
イギリス政府は28日、新型コロナウイルスワクチンの接種を欧州連合(EU)やアメリカで完了した人は、渡航制限の科せられている「黄色(アンバー)」リスト国からイングランド、スコットランド、ウェールズに入国する際も、入国後の自己隔離は不要になると方針を示した。8月2日未明から施行される。
イギリスでは現在、渡航制限をグループ分けしており、日本を含む大半の国が「アンバー」リスト対象。出発前とイギリス入国後にウイルス検査の陽性判定を受け、入国後は10日間の自己隔離が必要とされている。現時点ではイギリスでワクチン接種を終えた人のみ、イギリス入国後の自己隔離が免除されている(フランスからの入国を除く)。
8月からの新規則で、自己隔離を免除する対象を、アメリカやEUでワクチン接種を終えた人に拡大することで、政府は海外に住む家族や友人との再会を応援したいとしている。
グラント・シャップス運輸相は、EUかアメリカ当局が承認したワクチンを、EUかアメリカを出発する少なくとも14日前に接種し終えた人が、新規則の適用対象になると話した。対象の人たちは引き続き、「ラテラルフロー」と呼ばれる迅速検査かPCR検査を出発前に受け、入国2日目にもPCR検査を受ける必要がある。
18歳未満の人は隔離対象にならない。年齢によってはウイルス検査も免除される。
イギリス政府統計によると、イギリスで28日に新たに確認された感染者は2万7734人。最近では20日(4万6558人)以降、1日の感染者数は連日減り続けていたが、27日の2万3511人からまた増加に転じた。
陽性判定後28日以内に亡くなった人は91人。22~28日の死者数は498人で、15日~21日から36.1%増。
英航空大手を代表する業界団体「エアラインズUK」は、政府の決定を歓迎。「国外からの渡航に依存する何千もの企業にとって生命線になる」と述べた。
インバウンド需要業界の業界団体「UKインバウンド」のジョス・クロフト氏は、「280憶ポンド規模のインバウンド観光業界はイギリス全体で50万人以上の雇用を支えている。この決定でようやく、業界は再起動できる」と話した。
アメリカは入国制限継続
ワクチン接種を終えたアメリカ市民は今後、イングランド、スコットランド、ウェールズで自主隔離が不要になるが、米疾病対策センター(CDC)は引き続き、イギリスへの渡航を控えるよう勧告している。
加えてアメリカは引き続き、アメリカ市民以外の入国を厳しく制限している。
英米両政府は、双方の旅行者に自主隔離を免除し両国間の移動を容易にする、「旅行回廊」を検討するためタスクフォースを設置している。ただしアメリカ政府は26日、アメリカ市民以外に対する渡航制限を解除する方針はないと言明した。
家族との再会は
今回の規則変更によって、スペイン在住のパトリシア・ダンカンさん(70)は、手術を受ける娘を支えるため、隔離しなくてもイングランドに帰国できるようになる。
「心の健康に問題がある別の友人も、とても私に会いたがっている」とダンカンさんは言う。
「普段なら1年に3、4回は帰国して家族や友人に会うので、会えなくなって本当に長いことたってしまった。今回の決定はとてもうれしい」
一方でポルトガル在住のフィオナ・クラークさんは、英南部ブライトンに家族に会いに行きたくても、ウイルス検査の費用が相変わらず問題だと話す。
「慎重に検討して、検査のことがどうなるか様子を見るつもり」だという。
出典:BBC NEWS JAPAN
https://www.bbc.com/japanese/58007547
(英語記事 Covid: No quarantine for fully jabbed US and EU travellers)