2021年春がターニングポイント!?訪日インバウンド回復は実現するか
先日、日本政府が2021年夏に延期された東京五輪・パラリンピックに合わせ、訪日外国人観光客の入国解禁に向け本格的な検討に入ったという報道がありました。新型コロナウイルス対策として、専用の「発熱センター」設置や、スマートフォンアプリによる健康管理の徹底などが柱となり、早ければ来春から試行するということです。
参考:東京五輪、観光客入国を本格検討 「発熱センター」を設置―来春試行へ・政府
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020100300391&g=eco
■2021年春が訪日インバウンド回復のターニングポイント!?
新型コロナウイルスの状況、国家間の調整、航空路線の再開など様々な内容が関係する為、まだまだ不確定要素が多いですが、順調に事が進めば2021年春が訪日インバウンド回復の一つのターニングポイントになりそうです。
また東京五輪・パラリンピックの開催有無も訪日インバウンド回復ムードをつくる要因となる為、規模を縮小してでも開催されることを期待します。
そんな中、訪日インバウンド回復に対しては、安心・安全を前提とした「安堵感」がキーワードになるという見解があり、筆者も共感するところがあります。
参考:インバウンド復活、「安堵感」がカギ 関西経済白書
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64571820S0A001C2LKA000
まずは近距離のアジア諸国から回復すると想定される中で、アジア全体として「収束感=安堵感」ムードを出していくことと並行して、国家間の受け入れ促進、国際路線の回復、観光客の増加とつながっていくことで少しずつでも観光人口を増やしていきたいところです。
その為には、「安堵感ムード」は単なるムードだけでなく、有効な感染拡大防止対策が実行されている中で、訪日観光客を出来る限り安心・安全で迎え入れることができなければ本末転倒となります。国が先頭に立ち日本全体が一つになる中で、本当の意味の「おもてなし」を今こそ世界に向けてアピールすることができる良い機会であると思います。
■コロナ禍で変わったインバウンド業界
宿泊施設などの観光業、百貨店や免税店などの小売業、その他飲食業や訪日外国人が顧客のメインとなっていた業態はコロナショックによるインバウンド喪失で特に厳しい状況となりました。中には事業存続自体難しくなっている企業もあります。
そんな中、訪日インバウンド市場から離れる企業、一部業態を変える企業、合併する企業、日本人向けにもサービス展開を開始する企業など、業界自体が再編されたといっても過言ではないと思います。インバウンドバブル(訪日外国人増加における好景気)を契機に外国人向けサービスを専門として新規参入した企業は特に厳しい状況であることが想定されます。また、インバウンド回復期を迎えたとしても、リスク回避として今後は外国人をターゲットとしないという選択をする企業も可能性としてはあり、業界全体の再編は今後も進むと予測しています。
ただ、負の一面だけではなく、良い面もあります。業界再編が進む中で、観光立国や地域創生に情熱を持ち、実績のある訪日インバウンドプレイヤーの活躍の場が今後さらに増えると考えれば、訪日インバウンド拡大に向けて、より強固な体制になったともいえるのはないでしょうか。
■まとめ
10月1日に観光客は除くものの全世界からの入国が一部解禁され、10月8日からはシンガポールに次いで2カ国目となるビジネス客往来(短期・長期両方)が韓国との間で再開されるなど、少しずつではありますがインバウンド回復ムードが出来てきました。次のステップとしては、国を限定してでも観光客の往来再開を期待します。その為、訪日外国人をターゲットとする企業については、「インバウンド回復期=あらたなスタートライン」が迫っていると捉え、ターニングポイントになる可能性のある2021年春を見据えて、今から準備を整えることが重要です。
著者:JOINT ONE 嶋田 拓司