0か1か?コロナワクチン接種済みインバウンド旅行者 受入れの可能性
様々な意見が世界を包む中ですが、五輪開催まで1ヵ月を切りました。
スペインをはじめとするEU各国は観光客の受入れにおいて、各国が認めたコロナワクチン接種済み等を条件として着々と開始する状況となっている。
一部アジアでも条件は多少異なるが観光目的の旅客を受け入れる方向で検討が進んでいる。
バケーションシーズンを前に、コロナ禍の旅行について活発に動きを見せるEUや一部アジア。それに際して、今後、日本への渡航となるインバウンド観光客に対し、日本の重い扉は開くのでしょうか。
◇◆外国人観光客(旅行者)受け入れ状況(2021年6月21日時点)
【EU】
・入国が認められる接種済みワクチン
ファイザー、モデルナ、ジョンソン&ジョンソン、アストラゼネカ、シノバック、シノフォーム
入国が認められる国(ホワイトリストとも呼ばれています)においては、上記のワクチン接種済み証明書、免疫証明書、PCR検査陰性証明書などの各国が必要とする証明書を提出することによって渡航及び入国が可能になります。
また、日本は、スペインへの入国において一時的な制限が免除され、証明書の提出が不要となるが、スペインが定めた健康証明フォーム(FCS)の提出が必須となり、これは渡航前にオンラインで記入が可能。
【アジア】
タイ プーケット島2021年7月より外国人旅行者の受け入れを試験的に再開予定 ワクチン接種済み等。他、滞在に関しての条件付き。また10月までに全面受け入れを検討。
【他】
モーリシャス 7月15日から外国人旅行者の受入を開始
南アフリカ 日本人の受入を条件付で許可
モロッコ 日本人の受入を条件付で許可
タンザニア 日本人の受入を条件付で許可
ナミビア 日本人の受入を条件付で許可
ケニア 日本人の受入を条件付で許可
トルコ 5月15日より条件付で外国人旅行者の受入を開始
アラブ首長国連邦(UAE) 日本人の受入を条件付で許可
上記、全てではありませんが、着々と段階的に外国人旅行者の受入を始めています。
*上記は全て流動的な状況下の為、随時条件等の変更が生じる場合があります。
◇◆日本の動きは?理想と現実
7月に五輪開催という目的に向かい日々歩みを進めている状況であり、各国からの選手がホストタウン入りしています。
本来であれば、ホストタウンと外国人選手との交流や練習試合など心温まるニュースが取り上げられる状況のはずですが、コロナ禍ではなかなかそうはいかないようです。
日本入国に際して、一時期は、ビジネス・レジデンストラックともに入国が可能であったが、現状としては下記のように定めている。
日本上陸前14日以内に以下の国・地域に滞在歴がある外国人は、当分の間、「特段の事情」がない限り、上陸を拒否することとしています(2021年6月21日現在)。
*外務省HPより抜粋
新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について:https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page4_005130.html
国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について:https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/cp/page22_003380.html
*ビジネストラック 必要書類提出などの条件を満たした、ビジネス活動を目的とした短期出張者
*レジデンストラック 主に駐在員の派遣や交代などの長期滞在者
訪日外国人は2021年1月~5月までの時点87,100人(出典:日本政府観光局JNTO)。
今後ワクチンの接種が進み、集団免疫の獲得という状況になれば国間の不要不急の旅行も緩和されていくのではないだろうかと言われています。
しかしながら、ワクチン接種済みであればEUやその他の国が段階的に入国を許可していくなかで、日本も同様に一定の条件を設け訪日外国人旅行者の受入を再開することはできないのでしょうか?
インバウンド観光においては、一部では、コロナ前の状況に回復するのは2024年になるだろうと言われていますが、事業を継続するための補償や対策が十分でなければ、二極化された経済状況の中では日本の経済はもたないのではと懸念されています。また、コロナ収束後での観光リソースがそれまでにどれだけ持ちこたえることが可能なのか、ここ数年で完全に弱りむしろ消えてしまう恐れも考えられるかと思います。実際に老舗の旅館や施設などが危険な状況に陥っているまたは残念ながら既に廃業してしまったところさえあります。長期間休業や制限を続ける中で各事業においてのスキルの低下なども考えられます。
また、2030年に訪日外国人6,000万人を目標としていますが、今後、観光リソースが失われる傾向が更に目立つようになれば、コロナ前に魅力的な観光地として訪問を考えていた観光客にしてみれば非常に残念な状況になってしまうのではないでしょうか?
M&Aなどで継続することも可能かもしれませんが、以前と変わらぬ本来の良さや伝統をどこまで再現し提供できるかどうかなどの課題もあります。
そのため、観光リソースを守ることができない場合には国内旅行客のみならず、外国からの集客もまた難しくなってしまう可能性があると言っても過言ではありません。
これにより、観光業・旅行業のみならず飲食店、そしてそれらに付随する全ての業種が更におおきな痛手を負うことになるのは時間の問題です。
日本は小さな国ですが、そこに旅客が加わることで密を招くというのであれば1日の入国人数の制限をコントロールすることや、国と国の間でトラベルバブルを締結し、観光目的の入国を再開させることが必要なのではないでしょうか?
コロナにおいては感染するかしないかの2つしか答えがないのかもしれません、しかしながら感染経路が不明であったり、エビデンスが不明確であったりする中での営業制限はやはり事業者にとっては非常に厳しいのが現状だと考えます。
◇◆まとめ
他国が海外旅行解禁、その裏で起きる日本のインバウンドクライシスも念頭に置き、安心安全な対策のもと今後インバウンドの再開を検討していく必要があるかと思います。
条件を設け、トラベルバブルであっても周りの国と足並みを揃え、ある程度の段階的な再開をすることによって、小さなトライ(トライアル)アンドエラーとブラッシュアップが可能であり、いきなり訪日旅行解禁で起きてしまう重要なエラーを防げるのではないでしょうか?
インバウンド観光の再開に向け、各地の安全性を積極的に海外へ情報を発信することで何らかの形で再開が促される可能性もあるかもしれません。夜明けを待つよりも、夜明けに向かって歩みを進めることが大切だと考えます。
今回は、提言的な内容となってしまいましたが、観光業・旅行業においては国内のマーケット、インバウンドと線引きされることなく補償や支援がされ、一日も早く各地に笑顔の旅行者が満ち、健全で元気な日本に戻る日を祈っています。
ライター:カイトマウリ(JOINT ONE)