アフターコロナの民泊ビジネス 新時代にふさわしい3つ以上の可能性

コロナによるインバウンド消滅で日本の民泊ビジネスも大きな打撃を受けた。コロナ前、インバウンドの追い風も受け、民泊戸数は2020年4月には2万1385戸まで増加したが、コロナ禍となり減少に転じ、2021年5月には約1万9千戸にまで減少した。今後も観光業界の動向が見えづらい中、インバウンド回復期に向けて民泊ビジネスが活躍する余地はあるのだろうか。業界の動向を元にインバウンドとの関連を踏まえて考察していく。

 

◇◆世界の動向
民泊最大手のエアビーアンドビー、米国を中心にワクチン接種が進んだこともあり、2021年は業績が回復。同年第2四半期(4-6月)の売上高は2019年同期比10%増とコロナ前の水準に戻した。ワーケーションなどで民泊施設が利用されたことや欧州市場が回復してきたことが大きいようだ。

ただ、まだまだコロナに関連した市場動向は不透明な部分も多く、業界最大民泊サイトの今後の業績は旅行業界全体にとって注視する項目の一つだ。

そんな中、「スマーター(Smarter)」というあらたな民泊予約サイトが誕生している。質の高い宿泊施設のみを厳選しているということで既存サービスと差別化を図っていくということだが、ここでいう「質」というのは、家の質だけではなく、サービスの「質」も含む。室内の清掃や手入れが行き届いていることは当然として、滞在中に施設内設備の使い方が分からなければ電話で確認できるなど、民泊としては高水準のサービスを提供する。また、企業として環境への配慮の意識が高く「B corp」認証(環境や社会に配慮した企業に与えられる認証)を申請しており、さらに売上の一部を、慈善団体を通して環境保護プロジェクトへ資金提供しているなど、次世代の民泊サイトらしい一面がある。

スマーターは、「旅行業界が飽和状態になっておりその課題解決が同社のサービスにある」と言う。高水準のサービス施設のみを厳選した民泊サイトがコロナ禍で求められるということになるのか・・・こちらも今後の動向に注目が集まる。

 

民泊サイトに新潮流 エアビーに挑むロンドンの「スマーター」:

https://forbesjapan.com/articles/detail/42621/1/1/1

 

◇◆民泊ビジネスの可能性
民泊ビジネスには観光客の利用だけでなく、いくつかの可能性がある。

それは、コロナ禍であるからこそ生まれたニーズでもあり、様々な活用法が存在する。

その事例をいくつか紹介する。

 

・民泊と賃貸の二毛作/マツリテクノロジーズ

都内を中心に約500カ所の民泊物件を運営する「マツリテクノロジーズ株式会社」は、観光客用の宿泊施設としての「民泊」と新人研修や長期滞在者用の「マンスリー賃貸」を必要に応じて切り替える、まさに二毛作ともいえる戦略に打って出た。民泊需要が見込めない時期は賃貸として販売し、インバウンドが回復した際には民泊に戻すという手法でコロナ禍を乗り切っていく。民泊ビジネスの可能性の一つとして参考になるのではないでしょうか。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC013B20R00C21A6000000/

 

・自主隔離物件/マツリテクノロジーズ

またマツリテクノロジーズは、コロナ禍の自主隔離物件を提供するサービス(自主隔離.com)も提供。コロナ禍という特殊な世界において民泊施設の活躍の場を広げている。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000591.000022329.html

 

・ユニークな宿泊体験/百戦錬磨

元々民泊予約サイトとして台頭した株式会社百戦錬磨が運営する「STAY JAPAN」は、民泊施設を様々な体験施設として訴求している。民農泊、別荘泊、古民家泊、寺泊、城泊などユニークでローカルな宿泊体験ができるサービスでインバウンド消滅期を乗り切る考えだ。

https://stayjapan.com/

 

・ピンチはチャンス、物件獲得の好機!?

リスクを理解した上で、今が民泊ビジネス参入のチャンスと提唱する強者もいる。不動産起業家の鈴木氏だ。現状の市場は壊滅状態ではある為、1年程度の支出過多は仕方がないとしながらも、今こそ好立地の優良物件が良い条件で手に入る時期であるとのこと。

https://news.yahoo.co.jp/articles/58210de0684ac7f91eb9bd5d67edc2d2a466ef8b

 

◇◆インバウンドとしての可能性
旅行業界同様、日本の民泊ビジネスは、大きな転機を迎えているかもしれない。インバウンド旅行者の受け皿として、参入プレイヤーは増え続けていたが、現在は物件を保有していることがリスクとなっている部分も大きい。

ただ、人の出入りが活発な一般ホテルなどと比較すると密を避けやすく、プライベートをより重視できる為、インバウンド回復期においては再度注目が集まる宿泊施設となることが予測される。

今後のインバウンドにおける民泊の位置づけとしては、ローカル体験の拠点としての意味合いがより強まるのではないかと思う。密を避けるという観点はこれからも継続されると思われるが、その逆に人とのふれあいや日本だからこそできる体験を求める旅行者は確実に存在するだろう。

エアビーのキャッチコピーになっている「暮らすように旅をしよう」は、まさにコロナ禍におけるインバウンド旅行者にも刺さるのではないだろうか。

 

また民泊業者側の視点で見た場合、このコピーに様々なヒントが隠れているようにも思える。

 

◇◆まとめ
日本を含めた世界における民泊ビジネスの今後はどのようになるのだろうか。ワーケーション、隔離施設、撮影スタジオ、デュアルライフなど多様な活用方法を工夫すると、ウイズ/アフターコロナでも未来はあるように思える。

各国及び各地域において、地域社会の発展に貢献しローカル体験の拠点となることを前提に、「暮らすように旅ができる」民泊ビジネスのさらなる発展を切に期待する。

 

著者:JOINT ONE 嶋田 拓司