コロナ後の訪日客誘致へ 県、留学生招きモニターツアー 石巻地方巡る
県は19~21日、新型コロナウイルス感染拡大収束後の訪日外国人旅行者(インバウンド)誘致に生かそうと、石巻地方を中心に巡るモニターツアーを行った。課題の検証や魅力の磨き上げを図り、韓国などからの誘客につなげる。
ツアーには、東北大と東北文教大(山形市)の韓国・中国人留学生4人が参加した。石巻市牡鹿地区に2泊し、東日本大震災からの復旧・復興のほか、海や山といった石巻地方の自然の豊かさや海の幸など食の魅力を感じられる行程を用意した。
一行は東松島市宮戸地区の韓国版トレッキング「宮城オルレ」の奥松島コースを散策し、女川町ではサンマの昆布巻き作りや浜焼きバーベキューを体験。石巻市鮎川浜で魚釣りや「おしかホエールランド」の見学などを楽しんだ。
初日には同市の「みやぎ東日本大震災津波伝承館」を訪れた。スタッフから被災状況について説明を受け、津波の恐ろしさや防災の大切さを学んだ。
日本人の母を持ち、今秋来日したばかりのハク・ミヒョンさん(18)は「語り部の『命を守るために逃げて』というメッセージは胸に残った」と振り返り「被災地の復興の様子を見て勉強になった」と語った。
石巻地方の他、韓国で人気の日本酒を求めて大崎市の酒造会社「一ノ蔵」での酒蔵見学なども組み込んだ。来日5年のシン・ジェチョルさん(25)は「酒蔵が興味深かった」と満足そうだった。
石巻地方ではコロナ禍以前から、交通アクセスなどが課題となりインバウンド数が伸び悩んでいるのが現状だ。
県東部地方振興事務所の飯川斉地方振興部長は「今回のアンケート結果などを、観光事業者へのフィードバックや戦略づくりに生かしたい」と話した。
出典:河北新報