来場者100万人超の「香港ブックフェア」を狙う日本のマンガ・アニメ

7月1日から4日まで東京ビッグサイトで開催された「東京国際ブックフェア」。日本最大の本の展示イベントとして国内外の出版社をはじめ、多くの企業や個人が出展する。出版物の最新動向に触れられるとあって、毎年7万人近い来場者が訪れる。さらに、出版社による「『少年ジャンプ』の現場力!」や「なぜ、あの本がベストセラーになったのか?」など本好きの好奇心をさそうセミナーも見どころのひとつ。

そんなブックフェアの開催は日本だけではない。香港でも、7月15日~21日にかけ「香港ブックフェア2015」が開催される。世界中から著名な作家がかけつけ、30の国や地域から過去最多の580の企業や団体が出展予定。昨年は7日間でのべ100万人を超える盛況で、今年もかなりの来場者が見込まれる。一般書籍やティ-ンズ向け書籍から電子書籍までブースは多岐にわたる。

香港のコンテンツ市場における日本作品の拡大と、そこから“インバウンド”(=外国人旅行者を自国に誘致すること)に繋げる施策はますます重要なものになっている。なにより香港での日本のマンガ人気は根強い。50~60代の人たちでいえば、子供の頃から日本のドラマなどを見る日常があったため、日本のマンガやアニメ作品に対しても受け入れやすい環境がある。作品の世代交代はありながらも、その文化は若い世代へと受け継がれているのだ。

そして、今年の「香港ブックフェア」には日本から帯広市、新潟市、兵庫県などの地方自治体と民間企業ではKADOKAWAも参加。来場客ひとりあたりの平均消費金額が1万8000円という「香港ブックフェア」。物販収入よりも展示を通しての作品や地域の認知度アップがメインとなるが、“インバウンド”という点においては恰好のチャンスの場。

アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の長井龍雪監督、『うる星やつら』の作者・高橋留美子氏の出身地で、マンガやアニメを使った街づくりを目指す新潟市は、ゆかりのあるマンガ家、作家の作品とコラボレーションした商品などを展示。帯広市のブースでは、すでにアジアで大ブレイクしている荒川弘氏のコミック『銀の匙 Silver Spoon』を通して、舞台となった十勝の農業の海外へのアピールを狙う。『鉄腕アトム』の手塚治虫氏、『三国志』の横山光輝氏が長く暮らした兵庫県も、これらのマンガや関連グッズを展示する。

関東圏に住んでいるとあまり実感がないが、輸出産業、強いては外貨に頼らなければならない地方こそ、こういったアニメやマンガカルチャーを“インバウンド”の資源として活かしていくのはひとつの手段だ。そして、それらのコンテンツは信じられないほど対アジアへの日本の印象をよくするそうだ。「香港ブックフェア」だけでなく、日本のマンガ&アニメ外交の増進と産業資源としての発展に期待したい。

なお「香港ブックフェア」は、香港での開催になるが、チケットを購入すれば誰でも入場可能。若い世代を中心に100万人が押し寄せるという会場の熱気を感じに現地まで足を伸ばしてみるのもいいだろう。

出展:ダ・ヴィンチニュース

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