開始から30年!単なる休憩所ではなくなった道の駅の進化とインバウンド回復期の役割

2021年、日本で道の駅ができてからちょうど30年。高速道路のサービスエリアと同様に、一般道の休憩施設をあらたにつくるという名目で山口県、岐阜県、栃木県での社会実験を経て、その後国土交通省の認可制となり「道の駅」が開始され、現在では全国に1,000ヵ所以上となりました。駅といえば、鉄道の駅というイメージですが、昔、車もない時代に馬を引いて歩いていた人が休む場所がまさに、かつての道の駅であったのではないかと思います。駅という漢字が「馬」偏であることがそのことを物語っています。

今回は、ただの休憩所ではなくなった道の駅の進化とインバウンド回復期の役割を絡めて考察してみたいと思います。

◇◆道の駅の進化
「道の駅」の解説として国土交通省のWEBサイトに以下の記述があります。

<道の駅とは> ※一部抜粋

道路利用者のための「休憩機能」、道路利用者や地域の方々のための「情報発信機能」、そして「道の駅」をきっかけに町と町とが手を結び活力ある地域づくりを共に行うための「地域の連携機能」、の3つの機能を併せ持つ休憩施設。

【参考】https://www.mlit.go.jp/road/Michi-no-Eki/outline.html 

つまり、「休憩機能」だけに留まらない地域の拠点となる施設ということです。

30年前は、トイレ、食事など道路を利用する人に対する基本的なサービスを提供するだけの施設でしたが、2010年を過ぎたあたりから、道の駅自体が旅の目的になるような多様な魅力が加わり始め、現在ではインバウンド旅行者も集客できる可能性のある地域の総合観光拠点になりつつあります。また、地震や津波があった際の避難場所や自衛隊派遣時の拠点として活用するなど防災拠点としての役割もあり、観光客から地元住民まで幅広い人にとって必要な施設に進化を続けています。

◇◆個性的な道の駅
テレビなどでも取り上げられることが多い道の駅ですが、今回は特に個性的な道の駅を5つほど紹介してみたいと思います。

・オホーツク紋別(北海道紋別市)

世界で唯一の流氷の博物館をはじめ、真夏でもマイナス20度の厳寒体験ができる流氷科学センターなど「流氷」をキーワードとした様々な体験施設がある道の駅。

オホーツク紋別

・たくみの里(群馬県みなかみ町)

日本の原風景、宿場町の街並みが残るみなかみエリアにある里山のテーマパークとも言える道の駅。東京ドーム約70個分(330ha)にわたる敷地に、20種類以上の体験工房がそれぞれ「たくみの家」として点在。趣ある古民家の中で昔ながらの手法をそのままに、木工・竹細工・和紙などの様々な手作り体験ができます。また、そばやこんにゃく、豆腐作りのほか、さくらんぼ・ブルーベリー・りんご・いちごなど季節のフルーツ狩りやジャム作りなど、食に関する体験もたくさんあり、道の駅の規模を超えた道の駅。

https://takuminosato.jp/

・舟屋の里伊根(京都府伊根町)

古くから天然の良港として知られる伊根湾を一望できる丘陵地に「道の駅・舟屋の里伊根」があります。駅からは若狭湾を望みながら、全国でもめずらしい舟屋・約230軒の街並みを見ることができます。伊根漁港で揚がった新鮮な活魚をはじめ、「京都府内産農林水産物」に拘った食材を調理し、提供してくれるレストラン、お土産店、ラウンジ等があります。

https://www.ine-aburaya.com/michi-no-eki/

・道の駅あまるべ(兵庫県美方郡)

山陰海岸ジオパークの中心地余部(あまるべ)で、余部鉄橋展望施設「空の駅」と日本海の旬の味が楽しめる道の駅。展望施設へ向かうと、北側は日本海を一望でき、南側は新余部橋梁を通貨する列車を見ることもできます。全面ガラス張りのエレベーター(愛称:余部クリスタルタワー)は日本海の絶景を眺めながら、空を飛んでいるような浮遊感が楽しめる。

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・道の駅奄美大島住用(鹿児島県奄美市)

隣接する国定公園のマングローブ林でカヌー体験が楽しめる道の駅。奄美の名産でもある黒糖焼酎も楽しめ、奄美特有の動植物の生態系を体験学習することもできる貴重な施設。

http://www.qsr.mlit.go.jp/n-michi/michi_no_eki/kobetu/amami/amami.html

◇◆インバウンド回復期の役割
コロナ禍前、レンタカーなどを活用し地方を旅行するインバウンド旅行者も増加傾向にあったと思います。その為、インバウンドが段階的に回復してきた際、道の駅が今まで以上に活躍する機会も増えるのではないでしょうか。レンタカーなど、ある意味個室で移動ができる交通手段はアフターコロナであっても重宝される可能性があることから、道の駅が観光・情報発信・地域との交流の拠点になる可能性があるからです。また、インバウンド回復期には、強い旅の目的(需要)と人混みを避ける旅行者の割合が多くなることも想定される為、地方の観光拠点としての役割がより一層高まると思います。

◇◆まとめ
開始30年を迎えた道の駅は時代の多様性に対応するように様々な進化を遂げてきました。海外でもベトナム、タイ、インドネシアなどに道の駅が存在しており、日本の道の駅を参考にしながら、設置の際日本が支援していることが多いようです。そのことから、日本の地域拠点づくりの考え方が世界に波及しているということが言えると思います。今後も、地域と国内外の人・物をつなぎ、様々なきっかけを創出する拠点として「道の駅」が発展していくことを願っています。

著者:JOINT ONE 嶋田拓司