急増する中国人観光客 「インバウンドビジネス」は個人を狙え
日本政府観光局によると、2015年1月から3カ月間に日本を訪れた外国人観光客は413万1400人で前年同期比約44.7%増。なかでも中国人は92万3500人で、前年同期比で約2倍に膨れ上がった。今年1月19日にビザ発給要件が緩和されたからだ。
中国人の”爆買い”に「インバウンドビジネス」(訪日外国人を対象にしたビジネス)での商機を見出した有名デパートや家電量販店、ドラッグストアなどの小売業界は、あの手この手でガッポリ稼ごうとシャカリキ。銀座や秋葉原に加えて、最近では約190店舗のうち半数近くが免税店というヴィーナスフォートなど、大型商業施設がひしめくお台場が連日大賑わいだ。
こうした中国人相手のインバウンドビジネスは、今後も大きな成長が見込まれるが、実は課題も抱えている。
「免税の対象になる品物を急ピッチで増やすなど、受け入れ体制を着々と整えているのは大手企業ばかり。個人経営店や小規模な小売・サービス企業は、中国人観光客で売り上げを伸ばそうにもノウハウがないのが現状です」(飲食業界関係者)
大手は商品の品揃えや在庫が豊富で、しかもその多くが免税となれば、個人経営店がまともに勝負できるわけがない。何か突破口はないのか。中国人観光客の動向に詳しい広告代理店「サンワードメディア」の川島顕社長がこう言う。
「狙い目は個人の旅行客です。現在は中国人観光客の6割が団体旅行ですが、今後はどんどん個人旅行へとシフトしていきます。すでにツアーで決められた定番スポットを体験済みのリピーターや富裕層の多くは、団体客が来ない店に行き、日本人のキメ細やかなサービスを受けたがっています。個人経営店は、接客などのソフト面を上手にアピールできれば、きっと集客につながります」
PRの手段で手っ取り早いのは、日本を紹介する中国語のフリーペーパーやガイドブックに、お金を払って店を紹介してもらうこと。”日本フリーク”とも言えるマニアックな個人旅行客は、在日中国人の口コミや「微信」などの中国SNSが情報源だそうだが、こちらはハードルが高そうだ。
最後に些細なことだが、川島氏は「中国で最もポピュラーなデビット・クレジットカード<銀聯カード>が使えることは意外に大事」という。同カードは中国で40億枚以上発行され、日本国内では”爆買い”での利用が急拡大している。
小さな店にもチャンスはあるのだ。
出典:日刊ゲンダイ
http://nikkan-gendai.com/articles/view/life/160174/1